Monday, October 17, 2011

ブルームのタキソノミー(教育目標分類学)

学問を学ぶ上で必ず人間が通る過程があります。この過程は子供の頃からどの人間も経験している物で、このステップを一つずつ上っていく事で人間は成長していきます。高等教育(Higher Education)はそれまでの初中等教育(Primary, Secondary Education )で身につけた知識やスキルの延長線上に組み立てられ、初中等教育は必要不可欠な物として存在します。

この初中等教育から高等教育までのそれぞれの教育目標を明確に分類する方法がブルームのタキソノミーです。アメリカの教育学者であるブルーム(Benjamin Bloom)はこの目標を認知(Cognitive)、情性(Affective -- feeling or emotional area)、精神運動(Psychomotor --Physical Skills)の領域に大きく三つの分野に分けました。また、ブルームはそれぞれの分野(Domain)に初等から高等の段階を設定し、発達の過程を定義しました。

まず、ブルームは認知の分野を次のように六段階に初等から高等まで分類しました。


この分野の最も下にあるのが他の過程の土台となる「知識」です。知識の段階では、以前に記憶に残った出来事や、真相、概念などが蓄積されます。単語の意味を覚えたり、物事の順番、分類、構造などを覚える事がこれに値します。

知識の次に組み立てられるのが「理解」です。理解の段階では事実やアイデアを解釈、整理、描写などをすることによって知識を組み立てていきます。この段階ではまだ自分のアイデアや概念を表現することはありません。

次に理解の上に組み立てられるのが「応用」です。この段階ではそれまでに築き上げられた知識、技術、解法をそれまでとは違う新しい問題に当てはめて解く作業を行います。

次に応用の次に組み立てられるのは「分析」です。この段階で最も重要なのは一般化された情報や知識を吟味し、それを支持するための理由付けをすることです。論理的、批判的思想はここから生まれます。

また、分析の次におかれる「統合」の過程ではそれまでの初中等過程によって得られたり、応用された知識や情報を組み合わせ全く新しい概念を作り出します。

最後に、最も高等な分類に「評価」が格付けされています。この段階ではそれまでの段階によって養われた新しいアイデアや概念を発表、紹介することによって反論を受け入れ、その反論に対して決断を下す段階です。この最後の段階でそれまでに築けあげられた概念を洗練する事ができます。
ブルームによって紹介された二つ目の分野は「情性」です。この分野では人々が感情的に物事を表現する方法や、他人の喜びや痛みの感じとり方などが紹介されています。認知の分野と同じように初等の「受け入れ」から高等の「個性化」まで分類されています。

初頭の「受け入れ」では文字通り受動的に物事を受け止めることです。このレベルなくして学ぶことは始まりません。

次の段階の「反応」では、学習プロセスにおいて受動的に物事を受け入れながらも、積極的に参加することです。

さらに反応の次の段階の「価値付け」では、前述の反応した目的、現象、情報に対して評価することを意味します。

「組織化」で最も需要なのは価値付けで評価された目的、現象、情報や概念を種類、性質、用途など人それぞれの分類方法で仕分けし整理することです。

ブルームはこの分野の最上級である「個性化」で人はそれまでの価値観や概念を特徴化し、個性として見出されると説明しています。

つまり、この「情性」の分野では受動的に物事を受け止め反応する段階を経て最終的にはそれを自分の特徴として表現できるようになるということです。

最後に「精神運動」は肉体的に体やものを操作できる能力と定義されています。これは行動、振る舞い、習慣に変化や成長を加えることを意味します。

注)ブルーム自身は精神運動の分野に分類はしていませんが、後に別の教育学者がこの分類を考え出しました。

まず最初の段階の「認識」では五感を使って外界の状況を認識し、それによって行動を起こそうとすることを意味します。例としては、熱いヤカンを触って手を引っ込めようとすること。また、蹴ったボールがどこへ飛ぶか想像する事などが挙げられます。

認識の次に設けられた段階が「準備」です。ここでは精神的、肉体的、感情的に行動を起こすための準備を行い、それぞれの状況に応じてどう反応するかあらかじめ方向付けることを意味します。

次の「被誘導的反応」とは初期段階の模倣を意味します。この段階で実際に練習をして失敗をすることによって成功するための道が開けます。

被誘導的反応の次の「手法」は全体におけるちょうど中間の段階です。ここではそれまでの練習が習慣化するなどして自身と余裕を持ってできるようになる段階を指します。

さらに「複雑性への明確な反応」の段階では文字通り複雑な作業を最小限のエネルギーを使用して、迅速、正確、かつ効率的に行えるようになる段階です。躊躇いなどなく自動的に作業を進められることが不可欠です。

次の段階の「順応」ではそれまでに築き上げられてきた能力を特別な状況に応じて変化させ都合のよいものにする事です。例としては、一般家庭用パソコンを仕事でも使えるようにソフトウェアの入れ替えなどをすることです。

最後に「創作」が最上に置かれています。ここではそれまでに養った創造性を生かして特別な状況や条件に対応しながら新しい行動を起こすことです。これは、コンピューターネットワークを構築したり、家の設計をしたり、絵画を描いたりすることにつながります。

このようにしてブルームの精神運動はさまざまな教育学者によって再定義され、認識から始まり創造力までの過程を具体化しました。


この三つの分野がどのようにして相互関係を保っているかを正確に理解することで教育者たちは学生が歩むべき道を示唆し、効率的、効果的に学習の道を彼らに享受する事ができるでしょう。



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